兵庫県北播磨県民局地域振興部社農林振興事務所 加西地域農業改良普及センター

2003年8月試験実施情報
供試資材名土壌活性剤 エヌケイ-52 (顆粒)
作物・品種水稲 山田錦
試験暦新規
試験目的秋落ち傾向の常習田での山田錦の生産と品質の改善策として土壌活性剤エヌケイ-52の施用効果確認
試験要領
試験区
対照区
(試験要綱)前年11月24日に乾燥鶏糞を270kg/10a散布し、1週間後の12月1日にプラソイラで耕起(コンバインで刈り取った稲わらを同時鋤き込み)

(試験区)30aに4月17日 土壌活性剤エヌケイ-52(顆粒)15袋(300kg)を散布し、ロータリーで耕起。

(対照区)40aは4月18日 ロータリーで耕起のみ
播種5月4日
定植6月7日
収穫10月18日
備考堆肥量、施肥時期については両区とも西山宅の山田錦施肥基準による

結果レポート

実証試験結果とその考察

  1. 最高分壁時の生育調査では対象区の方が草丈が長く、葉いもち病の発生が広く認められた。一方、試験区は対照区に比べて草丈がやや低く、葉いもち病の発生はごく一部に認められる程度であった。茎数については両区に大きな差は認められなかった。
  2. 収穫期(坪刈り)時点の生育調査ではてい稈長、穂長には差は認められなかったが、茎数は試験区の方がやや多かった。
  3. 収量調査(坪刈り調査)結果では、試験区の乾燥籾重は715.8kg/10aで対照区に比べ69.4kg/10a多かった。粗玄米重は550.0kg/10aで81.1kg/10a多かった。
  4. 2.0mの篩を通した試験区の酒米重は449.9kg/10aで対照区に比べ79.0kg/10a多かった。
  5. 酒米としての検査等級は試験区は充実度がやや不足したため「特等」であった。対照区は青未熟粒が多く「一等」であった。
  6. これは、ヤンマー土壌活性剤エヌケイ-52(題粒)を施用した試験区は微生物の働きで土壌の状態が良くなり、根に活力が出来、生育初期から稲体がしっかりとしていたために葉いもち病にもかかりにくかったのではないかと推察される。
  7. 対照区は多雨、日照不足の中で軟弱に生育したため葉いもち病が発生し、梅雨明けがはっきりしなかった今年の気象条件の中で中干しを行っても根の活力も回復せずに出穂し、これが穂首いもち病や枝梗いもち病へとつながりくず米や未熟粒が多くなり減収につながったのではないか。また、全体として施肥量が多かったこともこれら要因に拍車をかけたのではないか。
  8. これらの結果からわずか1年の実証結果ではあるが、土づくりをしっかりしておけば不順な気象条件のもとでも稲体は健全で病気にも犯されず、秋落ち現象もなく、収量、品質も安定することが実証でき、当初の試験目的はほぼ達せられたのではないかと考えられる。
  9. また今回、山田錦の生産と品質改善のために供試したヤンマー土壌活性剤エヌケイ-52はすぐれた土づくり資材であり、最近懸念されている山田錦の粒張りや心白の発現問題解決への足掛かりもつかめたのではないかと考えられ、今後山田錦の生産地帯で広く活用されることが期待される。
  10. 最後に今回の実証試験ほ場を快く引き受け、栽培記録をいただいた社町の西山哲也様を始め、生育・収量調査に協力いただいた兵庫県加西農業改良普及センターの細見淳普及主査、土づくり資材の提供をいただいた中村産業開発株式会社に深く感謝します。